3連休の振り返り

3連休の振り返り
Photo by JESHOOTS.COM / Unsplash

この3連休ではピーター・ティールについて学びを深めた。彼の語るスタートアップ実践論は昨今の潮流と逆行するところが大いにあるが、だからこそ学ぶべきところがある。逆張りが良い場合もあれば、そうでない場合もある。結局、「Aの方が主流だから」という論拠に基づいて下した意思決定は脆く、再現性がない。使い古した言い回しになるが、自分の頭で考えて判断するしかない。

ここでも「Power Law(べき乗則)」に出会った。ベンチャー・キャピタル(VC)における各ポートフォリオ企業が生み出すリターンはべき乗則に従うということだが、このべき乗則は実社会でありふれているように思う。特にいま目覚ましい速度でべき乗則の発散状態にあるのが生成系AIだろう。つい1年前、2年前まで脅威ではなかった技術が、あっという間に大多数の人間の知能レベルを超越してしまった。

このべき乗則の動きを人間が感知するのは簡単ではない。以下は将棋名人を倒した将棋AI「Ponanza」を開発し、その後完全自動運転EVの開発・製造に挑戦するTuring株式会社を創業した山本一成氏の講演だが、その中でもAI(を含む技術の進歩)を指数関数的なものとして表現している。最初は1cmの小人は、5年経っても32cmにしかならない。しかしその5年後には10mの大巨人になっているのだ。

①世の中にはべき乗則がありふれている、②べき乗則に人間が気付くのは難しい(気づいた時には手遅れになっている)、という2つの前提をもとにすると、意思決定の一つの軸が生まれる。例えば組織における不協和音は良い例だろう。組織において不満を撒き散らすのは大抵の場合ごく一部の人間だ。しかしひとたびそれが広まりだすと加速度的に浸透し、気づいた時には組織全体が不健全な状態に陥っている。肝心なのは出鼻で対処することだ。これはあくまでも単純化した一例だが、このような事象は社会にありふれているのかもしれない。